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特別寄稿

コロニア語考=移民の知恵=中田みちよ=(5・終わり)

保久原ジョルジ『臣民』

 では、最近の「ブラジル日系文学」のコロニア語の混入度はどんな具合なのでしょうか。  最新の59号(2018年)、戦後の力行会青年移民の随筆を手にとると、インテルホーネ、ビッコ(アルバイト)、ピンゲイロ、カシャセイロに混じってイケメン、リーダー、ウオーキングなど最近のカタカナ語が混じっています。この地特有の名詞、たとえばピンガや ...

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コロニア語考=移民の知恵=中田みちよ=(4)

ジャブチ賞を受けた『NIHONJIN』

 選集②を編集した清谷益次はこう解説しています。 「この時期は古い移民(準二世など)が、創作に勢いだった時代でもある。彼らの小説を書こうとする意識の底には自らが経てきた理不尽(自分意志によらず運び込まれた環境とそこで余儀なくされた生活)な道程を何者かに向かって訴えたい、知ってもらいたい、知らしめたいという渇望のようなものが創作に ...

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コロニア語考=移民の知恵=中田みちよ=(3)

「コロニア詩文学」

 つぎに全選集中、複数回使用されているコロニア語を挙げると、 *食事・炊事・飲み物に関するもの アルモッソ、コジーニャ、ジャンタール、トマカフェー、メーザ、 ファッカ、レイテ、ピンガ、 *作業・道具に関するもの エンシャーダ、トラトール、サッコ、カマラーダ、コロノ、 マルミッタ、ママデーラ、 *衣服に関するもの カルサ、カミーザ ...

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ボルソナロ新内閣が発足=「政治家より国民のために尽くす」=古く澱んだ池に澄んだ大量の水=サンパウロ市在住 駒形 秀雄

新しく就任した内閣(Foto Valter Campanato/Agência Brasil)

 1月1日、うす曇りの首都ブラジリアで各界要人列席の下、ジャイール・ボルソナロ氏の第38代大統領の就任式が無事挙行されました。全国各地から11万人もの国民がこれに参集し、三権の広場は大衆の祝福の言葉で満たされました。  翌2日には各省庁の実務を遂行する新閣僚たちも正式に任命され、旧来とは別の清新メンバーによる内閣が発足しました。 ...

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コロニア語考=移民の知恵=中田みちよ=(2)

昨年末20、21日にジャパン・ハウスで開催されたシンポジウム「国際移動:ハイブリッドな文化・言語」で、この論考が発表されたときの様子(左が中田さん)

 コロニア文学は私も創立会員に名を連ねましたが、発起人たちは意気盛んでした。コロニアが溶解をはじめる以前の「我ら文学する」と結束していたころです。  こうして、書き手も印刷も純粋にコロニア人の手によって選集が編まれたのです。すごいことです。  その全4巻の内訳をみると、第1巻は1908~1956年までの作品27編を収録。作者は全 ...

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コロニア語考=移民の知恵=中田みちよ=(1)

「コロニア小説選集1」

 最近は、ニッケイ・コミュニテイという言葉もできましたが、ひと昔、ふた昔前までは、日系社会は何かといえばコロニア社会(注1)といい、コロニア語といったものです。  わたし自身、戦後移民ですから、ブラジルにきた当初、近郊サントアマーロの同県人の農園で家族で就労した経験があり、農園主の邸にブラジル料理を習うという名目で手伝いに行った ...

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中南米で台湾と国交絶たせる?=多額ドル投資の裏で中国が狙うもの=パラグァイ在住 坂本邦雄

8月16日、パラグァイ新大統領の就任式に出席して話をするテメル大統領と台湾の蔡英文中華民国総統(Foto Taiwan Presidential Office)

 黒人の望みは明らかだ。ドミニカのメレンゲ(西インド諸島の踊り)がそれを大へん優雅に暗示している。  中国人の場合は、余りハッキリしないが、調べれば判らない事はない。  中国は、サルバドル及びパナマに多額のドル投資を行なっている。  これは最近、両国は国情の不安定化と危機に見舞われていると言うのに、何故なのか?  実は、中国は2 ...

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パラグァイ=マリト新政権の蜜月期間終り=さっそく副大臣解任の波乱=アスンシオン在住 坂本邦雄

マリオ・アブド・ベニテス新大統領(通称「マリト」、Kremlin.ru)

 早いもので、計算して見るとマリト新政権が8月15日に就任してから、今月の23日(金)で、政権交代後の100日の所謂、報道の「ハネムーン期間」の満期を迎える。  これは、民間企業の従業員採用時の「試用期間」の様なものだが、近代の民主主義政治においては、その間の成績がどうであれ、選挙で選ばれた大統領が、正か採用不合格にはならないに ...

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法治民主制の枠組内で改革を=穏健な政権への成熟に期待=ポルト・アレグレ在住 杉村士朗

6日に連邦議会で行なわれた憲法制定30周年記念の慶祝議会に、憲法を手に参加したボウソナロ次期大統領(José Cruz/Agencia Brasil)

 10月28日、大統領選挙決選投票が行なわれ、保守派ボルソナロ候補者が時期大統領に選ばれた。  13年間にわたるPT(労働者党)政権の腐敗と欺瞞に国民は怒り、軍政賛美など過激な発言をする未知数の元軍人候補者に変革を信託した。  10月7日、第1回投票でPTハダジ候補者と無名小党PSLボルソナロ候補者の2人が決選投票に残った。10 ...

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PT(労働者党)の冬=ダニエル・ペレイラ著

ハダジ氏(右)とグレイシ・ホフマンPT党首は、ルーラ容疑者を見舞ったあと、抗議集会に参加(18年6月29日、Ricardo Stuckert)

 PTハダジ候補者は、ルーラ元大統領との「へその緒で結ばれた関係」から生ずる利益と負債を、同時に獲得した。  イボッペ選挙調査によると、9月中旬わずか7日間で支持率が11%急上昇し、大統領選挙戦第2の地位を固めた。1週間前のダッタ・フォーリャ選挙調査によると、拒絶率も9%急上昇し、ボルソナロ候補者と肩を並べる高い拒絶率となった。 ...

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