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「メルコスルは最後の交渉相手」=外交専門家、渡邊頼純教授=ジュンケイラサンパウロ州農務局長も

渡邊頼純教授

 「世界主要経済圏と経済協定を結んできた日本にとって、メルコスルは最後の重要な交渉相手」――在サンパウロ日本国総領事館(野口泰総領事)とブラジル日本文化福祉協会(石川レナト会長)が主催する講演会「日本とラテンアメリカの経済協力関係」が11日夜、サンパウロ市のジャパン・ハウスで開催され、講演者は関西国際大学の国際コミュニケーション学部の学部長、渡邊頼純(わたなべ・よりずみ)教授はそう位置づけた。当日はサンパウロ州農業供給局長に就任したグスターボ・ジュンケイラ氏も講演し、日伯お互いの視点から将来性を語り合い、100人余りが聴講した。

 最初に主催者を代表して野口総領事、石川レナト文協会長が挨拶。続いてコーディネーターの奥原ジョルジ文協副会長が、「ブラジルにとって日本は2019年の輸出国リストの5番目、輸入先では9番目でお互いに重要な貿易相手」と日伯貿易の現状を説明した。
 日本がブラジルから輸入している半分以上が農産物であり、ブラジルが日本から輸入しているモノの中心は自動車部品や精密機械などに集中。ブラジルと中国の貿易はこの3年で急激に増え、対中輸出は600億ドル規模に成長と語った。
 渡邊教授は02年に外務省経済局参事官、05年には慶應義塾大学総合政策学部教授などを歴任してきた外交専門家。プラザ合意(1985年)以降に急激な円高が始まり、日本企業の海外進出が本格化した流れから説明した。
 その説明からは、東南アジアで日本の自動車や家電の部品製造がされて伯国に輸入されている現実が浮かび上がり、日伯間の直接貿易だけを見ていても、本当の日伯貿易の総量が分からない現実が伺われた。
 海外生産の流れから、日本は東南アジア、北中米、EUなどの三大経済圏と経済協定を結んできた。TPPが発効したことにより、南米も太平洋側とは協定が結ばれたが、ブラジルのような大西洋側が取り残されている現状が説明された。
 「日本は世界の経済圏を結ぶ結束点。そして日本メルコスルの経済協定の件は、すでに協議開始が決まっている。いつ、それを開始するかが問われている段階。日本にとり最後の大型経済圏との交渉になる」と今後の展開を見通した。

ジュンケイラサンパウロ州農務局長

 ジュンケイラサンパウロ州農務局長は、「実はブラジルは90年代までは世界最大級の農産物輸入国だった。その後、農業界が改革されて世界第2位の農産品輸出国に生まれ変わった。ブラジルには農業に必要な水と土地が豊富にあり、生産性を向上させることで、まだまだ世界の食糧需要を支える能力を高められる」と将来性を紹介。
 全農業界においてサンパウロ州はサトウキビの54%、落花生の89%、柑橘類の68%、卵の30%、トマトの30%などの生産を牛耳る重要な農業地帯であることを示し、「アフリカにはこんなに水がない、中国でもこれだけの食糧生産はムリ。日本にとっての食糧基地として、もっと活用してほしい」と呼びかけた。

最後に行われた座談会の様子


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 ジュンケイラサンパウロ州農務局長はJHの講演会の中で、ドリア政権は2019年にはサンパウロ州事務所を中国に、今年2月にはドバイに開設し、積極的に貿易に力を入れていることを強調した。11月16~18日にAGRO EXPO Sao Pauloを開催予定なので「ぜひ渡邊教授に、世界がブラジルの農業に何を求めているのか、ぜひそこで講演してほしい」と呼びかけた。その頃には、コロナ危機が完全に収まっていてほしいところだ。

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