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《サンパウロ市》コロナ死者は周辺部に集中=4日からは道路の封鎖も開始

緊急援助金を受け取りたくて銀行の前で列をなす人々(Roberto Parizotti/Fotos Publicas)

 【既報関連】新型コロナウイルスの感染者、死者数共に突出しているサンパウロ州の中でも、感染規模が特に大きいサンパウロ市では、周辺部を中心に死者が増えている他、感染者や擬似症患者の報告も増加の一途であるため、4日からは幹線道路の一部封鎖も始まったと同日付現地紙サイトが報じた。
 3日現在のサンパウロ州の感染者は3万1772人、死者は2627人で、感染者は全国の34・4%、死者は37・4%を占める。サンパウロ市では全国初の感染者と死者が出た上、同州の感染者や死者の大半が集中している。
 2日現在の同市の感染者は2万464人、擬似症患者で感染未確認の人は8万1543人、死者は1693人だ。市役所の報告書によると、4月9日現在の感染確認済みの死者は422人、感染の可能性ありが688人の計1110人で、実際の死者は報告数を上回るはずだ。2月26日~4月23日の擬似症患者報告数は1日平均812人だが、4月24~26日は平均3400人を超え、現在は4千人超だ。
 この傾向は全国の感染者や死者が急増し始めた時期と一致。一部専門家は、4月半ばに外出自粛が緩み、感染者数、死者数の増加を招いたと見ており、サンパウロ市の動きは全国の動きを反映している。
 最近のコロナ関連の報道で目立つのは、サンパウロ市での死者は貧困層が住む周辺部に集中しているというものだ。死者最多は北部のブラジランジアで、4月18日までの死者は81人だ。
 周辺部での感染拡大と死者増加は、小さな家に大勢が住むなどの理由で人口密度が高い事、周辺部では公共交通機関を使う人が多く、接触の機会が多い事、外出規制の監査が行き届かない事、医療体制の整備が不十分である事などが原因だ。同様の現象は他の都市周辺部や内陸部などでも生じうる。
 サンパウロ市の死者急増は主な墓地の埋葬数増加からも明らかだが、外出自粛令導入後も感染者や死者の増加が続くのは、隔離率が50%前後で止まっている事と、規制疲れで出歩く人や必要に駆られた人に対応するために店を開けたりする人が出ている事などが原因だ。この週末には、密閉空間にマスクも着けない人が多数集まってバイレを開いた所もあった。規制違反で閉鎖された施設は283カ所に上る。
 4日に始まった一部の幹線道路封鎖(午前7~9時、南部モレイラ・ギマランエス大通り、北部サントス・ドゥモン大通りなど)は隔離率を高めるため。一部の閉鎖区域では混乱も生じたが、5日からはバス専用レーン以外は通行禁止となる。隔離率が上がらなければ、道路封鎖の箇所は増える見込みだ。
 感染拡大抑制のため、サンパウロ州は4日、7日以降、路上などの公共の場所を歩く場合もマスク着用を義務化する事を決めた。バス、地下鉄、タクシーやUberの乗員と乗客は4日からマスク着用が義務化されている。

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