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《ブラジル》中国製ワクチンではEU圏渡航ダメ?=欧州医薬品庁が査定開始

コロナバック(Twitter)

 欧州医薬品庁(EMA)が、現時点ではブラジルで最も使用されているコロナワクチン「コロナバック」を同庁公認のワクチンとして認めるか否かの査定を4日からはじめている。査定は動物実験や人体での臨床試験(治験)の結果を基に行われているが、これが認められないと、ワクチン接種を受けても欧州への渡航が厳しくなるため注目が集まっている。4日付現地サイトが報じている。
 中国のシノバック社が開発し、サンパウロ市ブタンタン研究所が治験や国内生産の窓口となっているコロナバックは、ブラジル以外でも中国、インドネシア、トルコなど29カ国で使用されている。ブラジル国内ではこれまでの接種の75%ほどがコロナバックだ。
 だが、欧州では採用された実績がないため、EU圏への渡航に際しての問題となりはじめている。EU内の航空業界は「ワクチン接種を受けた人にのみ、圏内への渡航を認める」姿勢を打ちだしはじめているが、その欧州が認める対象ワクチンの中にコロナバックが含まれていないためだ。

 欧州で中国製ワクチンを使用しているのはハンガリーとポーランドのみで、それもシノファームという別の企業のワクチンだ。同社製のワクチンも、EMAでは承認されていない。
 現状、EUではファイザー、モデルナ、アストラ・ゼネカ、ジョンソン&ジョンソンの4種のワクチンが承認されている。ブラジルの場合、アストラ・ゼネカ(別名オックスフォード・ワクチン)による接種も行われているが、その割合が低い。ファイザー社のワクチンは4日から接種がはじまったばかりだ。現状ではコロナバックの接種がほとんどのブラジル人の欧州渡航は、難しいものとなる。
 こうしたブラジルの状況に加え、シノバック側も4月、「年間で20億回分のワクチン製造可能な工場を建設した」と語るなど、コロナバックの国際展開を望んでいる。
 これらの事情により、世界保健機関(WHO)も現在、シノバック社やシノファーム社のワクチンの査定に動いている。

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