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《ブラジル》大統領が自ら中国陰謀論 ウイルス兵器説を会見で 前外相、経済相らに続いて

5日のボルソナロ大統領(Marcos Correa)

 ボルソナロ大統領が5日に行った、コロナウイルスは中国の陰謀との論をほのめかすような物言いが、中国からの原材料輸入に頼っているワクチンのコロナバックの調達を遅らせるとの懸念を生んでいる。5、6日付現地紙、サイトが報じている。
 ボルソナロ大統領の問題発言が行われたのは、5日の午前中の記者会見の席だった。大統領はここで、コロナウイルスに関して「ウイルスは研究室で作られた可能性がある」と発言。「兵士なら、化学兵器や生物兵器などの実態を知っている」「コロナ禍の中で国内総生産(GDP)が一番成長したのはどこだ?」といった表現で、新型コロナによるパンデミックは人為的なものとの考えを強調した。これらの発言は即座に「中国のことを指している」と判断され、各マスコミは一斉に「大統領が中国批判を行った」と報じた。
 こうした批判が相次いだことで、ボルソナロ氏は5日夜、「中国という言葉は一度も発していない」として、マスコミを批判した。だが、コロナウイルスは中国の武漢市の研究所で作られたとの説は以前から繰り返して囁かれている上、GDPに関しても、中国が2020年に世界でも数少ないプラス成長を記録した国であることは周知の事実だ。
 注目のコロナ禍議会調査委員会(CPI)のネルソン・タイシ元保健相証言と同じ時間帯に、あえて今回の大統領記者会見が行われ、そこで問題発言が出てきたため、「物議をかもす発言を行って世間の注目をそらすための陽動作戦」との見方も出ている。
 だが、大統領の発言は、「CPIから世間の目をそらさせる」以上に深刻なものと取られている。ブタンタン研究所のジマス・コーヴァス所長は6日朝、「今回の大統領の発言で、中国からのコロナバックの原材料の輸出に影響が出るかもしれない」との懸念を示した。

 この発言は、ジョアン・ドリア・サンパウロ州知事とともに、保健省に対して100万回分のコロナバックを納品したことを公表した記者会見の席で行われたものだ。
 コーヴァス所長は会見の席上、「ブラジル駐在の中国大使は外交問題は有効成分の輸出承認には影響を与えないと言っているが、このところ、成分輸出の承認が遅れ、承認される量も徐々に減っている」として、中国との外交関係悪化がコロナバックの製造、納入にも悪影響を及ぼしていることを示唆した。同所長は、次回到着分にも遅れが出ており、ワクチン製造が再び中断される可能性があることも明らかにした。
 中国との関係に関しては、4日のCPIで証言を行ったルイス・エンリケ・マンデッタ元保健相が、「関係は良好だったが、エルネスト・アラウージョ外相(当時)と(大統領三男の)エドゥアルド・ボルソナロ下議によって悪化した」と語り、両者による中国に関する陰謀論拡散が悪影響を及ぼしたことを認めたばかりだ。
 現政権では先月も、パウロ・ゲデス経済相が保健省傘下の審議会で同様の発言を行い、物議をかもしたばかりで、同相の召喚が求められている。そのような流れの中で大統領自らが関係悪化を招くような発言を行った責任は、同CPIでも改めて追及される見込みだ。
 6日のCPIでは現職のマルセロ・ケイロガ保健相が、「私の役目はワクチンを多くの人に届けること」との意向を表明し、社会的な距離の確保やマスク着用などの基本的な対策の大切さも強調した。だが、現在までに接種されたワクチンの75%を占め、2度目の接種用のワクチン確保の必要が叫ばれているコロナバックの製造に悪影響を及ぼしうる発言を大統領自身が行ったことは、同保健相が加速させようとしている予防接種計画にも影響を及ぼしかねない。

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