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身近なアマゾン――真の理解のために=連載(9)=南米大陸の三寒四温=一日の中に〝四季〟が

2006年11月7日付け

 アマゾンの四季(1)□ 長らく続いたアマゾン河地方の雨季も終わり、アマゾン地方が乾季に向かうこの時期六月、日本では梅雨シーズンで、そろそろ蒸し暑くなる季節である。サンパウロでは冬の始まりで、そろそろ寒くなる季節だ。 日本からは、地球のちょうど裏側になるブラジルは、日本との時差がちょうど十二時間、季節も完全に逆になる。だから、日本の八月の真夏の季節はブラジルでは二月に相当する。日本の真冬の二月の季節がブラジルでは八月、と思って頂けば正解である。そのため日本で熱帯魚水槽のヒーターが外せて、自然状態で熱帯魚が飼える頃は、こちらでは寒くなって、そろそろ加温してやる季節となる。
 南米大陸でも、アジア大陸にある大陸独特の〔三寒四温〕があるように思われる。南極やアルゼンチン南部で発生した寒気団の高気圧が、寒冷前線を押し上げて北上し、この冬の季節に雨が降ると、昼夜関係なく突然気温が急降下することがしょっちゅうだ。この六月の初めになると、気温が氷点下ちかくまで下がり、場所によって霜が降りたり、南部高原地帯では氷がはった、とか雪が舞ったというニュースが流れる。
 ブラジル南部のリオ・グランデ・ド・スルとかサンタ・カタリーナ、パラナとかいった地方では、毎年冬になると霜が降りたり、雪が降ったりする。
 このような南部の冬の寒い地方でも、昼は気温が摂氏二十度くらいまで上がるので、この地方の川や池の水温も十五度を割るということは稀なので、こんな寒い地方に住む観賞魚でも種が絶滅してしまう、ということもないようだ。
 前述したが、大陸の三寒四温で、このような寒さも四日以上続くことは稀で、暖かくなり始めると、冬でも気温が摂氏三十度を越すことがあったりする。
 朝方、気温が氷点下ちかくまで下がった日でも、昼過ぎに三十度を越したりすると、そういう日はかなり厳しい一日となる。
 このような気候は日本ではあまり考えられないが、こういう状況は一日の中に四季があるのではないか、と思えるような感覚にさせられる。
 筆者には学校に通っている娘が二人いるが、このサンパウロの寒い季節は、最初に半そでのTシャツを着て、その上にセーターを着て、さらにその上にトレーナーを着込んで学校に行く。
 寒い早朝から、日が高くなるにつれて、だんだん暖かくなり始めると、着こんできたものを一枚ずつ脱いでゆくわけだ。午後二時を過ぎて、また夕方にむかって寒くなってゆくので、こんどはまた一枚ずつ着てゆく。
 このような昼夜の気温差の激しい気候なので、日本のような〔衣替え〕などという儀式はない。同じタンスに夏物、冬物が混ざって入っている。
 サンパウロ・グアルリョスの冬の国際空港ロビーなどは、集まっている乗客の服装がマチマチで、思わず笑ってしまうことが度々ある。フカフカのミンクのロングコートを着ているご婦人の横で、ランニングシャツに半ズボン姿のアマゾン帰りらしい紳士が並んでいたりして、その情景に一瞬〔ぷっ!〕と吹き出しそうなことがあるが、失礼にあたるので、笑いを噛みしめている。つづく (松栄孝)

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