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日本の水が飲みたい=広橋勝造

連載小説=日本の水が飲みたい=広橋勝造=(154)

《先輩、てめぇーもです》 いつも真剣な村山羅衆はもっと真剣な顔で、《今は宗教界が冥界の霊権を維持しておるが、人間界に平和が続くと不思議と魔界支持が台頭し、今回の霊と人間との約束事のような些細な事でも、我々宗教界への支持が下がり、ねじれ霊権となりかねないのじゃ》「こんな些細な事で?」《今回の約束事が失敗すると、霊権を狙っている魔界 ...

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連載小説=日本の水が飲みたい=広橋勝造=(153)

「三年前に不思議な経験をした。それで、可能ではないかと・・・」「ジョージさん、その経験とは?」「死んだ女が、中嶋さんよりも無謀で、俺よりも滅茶苦茶な男、オオハシと云う日本人をブラジルへ呼び寄せたんだ」「死んだ女が日本人をブラジルまで呼び寄せたのですか?」《だから、最初にあっしと出会った時、ジョージはちっとも驚かねーで、あっしの方 ...

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連載小説=日本の水が飲みたい=広橋勝造=(152)

《そうなんじゃ。無機物生命や金属生物と云って、大阪大学の石黒と云う奴が人間型の労歩徒(ロボット)・安奴労意奴(アンドロイド)を作り『不気味の谷』の破苦(パニック)を克服して劇場公演までやらせようと計画しておるそうじゃ。それに、東北大学の小菅や早稲田大学の高西は医師や生物学者も巻き込んで病気までする患者労歩徒や病気を治す寺火(テラ ...

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連載小説=日本の水が飲みたい=広橋勝造=(149)

 鍵穴から入った小川羅衆は、そのろうそくを消した。「?」中嶋和尚は何かを感じたが、又、ろうそくに火を点けると、《フ~》炎がゆれて消えた。中嶋和尚は全神経を集中して、「誰ですか?貴方は」《中嶋和尚!》中嶋和尚は霊性を感じたが、小川羅衆の霊体を掴めなかった。《如何したら話せるだろうか。彼に呪い移ると彼と話すのは不可能だし・・・》 そ ...

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連載小説=日本の水が飲みたい=広橋勝造=(148)

《早速、中嶋和尚をここに呼び寄せますから、『南~無、阿~弥、陀仏~、南~無、阿~弥、陀仏~、・・・、なー、かー、じー、まー、おー、しょ~うを、こー、こー、へー、・・・』》と村山羅衆は唱えながら、傍観している小川羅衆を睨んだ。 《?!》 やっと村山羅衆の意図に気付いた小川羅衆は、まず、ジョージの車にあったパンフレットに記されたジョ ...

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連載小説=日本の水が飲みたい=広橋勝造=(147)

小川羅衆はポケットから呼子を出し、霊笛を鳴らした。 《『ひゅ~、ひゅう~う』》、妖怪のチンピラ達はその背筋が寒くなる笛の音に耐えきれず悲鳴を上げて逃げ出した。五越商店の奥から拘束された腕と肩の凝りを解しながら村山羅衆が出てきた。 《先輩、日本の妖怪がどうしてブロジルに?》 《森口に寄生して来たのであろう。悪を餌に繁殖するが、神道 ...

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連載小説=日本の水が飲みたい=広橋勝造=(146)

助手席のアレマンと重なって見える村山羅衆が、 《森口の車に飛び乗った小川との連絡が不通だ》 「混信だ。この通りには多くの低いテレビ塔が大電力送信をして、瞳が乾くくらい強い電磁波が飛びかっている。パトカーの無線もお手あげなんだ」 《これは酷い! 仏界の神技通信も出来ぬ状態だ》 ジョージは森口の車を追って右折してコンソラソン通りを五 ...

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連載小説=日本の水が飲みたい=広橋勝造=(145)

小川羅衆より百年以上ベテランの村山羅衆が、 《これは、めったにない霊象で、ジョージ殿の脳波と我々の霊波が合ったのであろう。昔は大きなズレでも調整出来たが、今の俗界にはロジオ、テロビ、最近になって携帯通話器なる厄介な物が氾濫し、いろんな波が飛び交い、霊波と混信しおって、それに、下手に調整しようとすれば薄類野愚裸火(ポルノグラヒー) ...

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連載小説=日本の水が飲みたい=広橋勝造=(144)

ニッケイ新聞 2014年4月26日 「獣ならどう行動するか考えていると、俺の瞼に手を振るお前が映た」 《幸運な再会だった》 「さて、森口を捕えに・・・」 再来週までこの世に留まる事になった小川羅衆とジョージは、新米刑事達を従え、森口が潜んでいる一番奥の個室に向かった。鍵が壊れたその個室の前に落着かない中年の男がいた。それを見た小 ...

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連載小説=日本の水が飲みたい=広橋勝造=(143)

ニッケイ新聞 2014年4月25日  ジョージは愛撫と同時に女のドレスを巧みに剥いだ。 「小川羅衆からお先に」 《てめーから? あっしは幽霊だ、如何しようもねーじゃねーか》 「俺に呪い移ればいい」 《そう云う手が、こんな事、二百年ぶりでー》と言って小川羅衆はジョージに呪い移った。 それと同時に、ジョージの男性が大きく撥ねた。 女 ...

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