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JICA青年ボランティア リレーエッセイ=最前線から =連載(43)=大畑りつ子=コロンビア日系人協会=コロンビアからコモ・エスタ?

2006年5月25日(木)

 コロンビアと聞いてイメージするのはゲリラ・麻薬・コカインマフィア・犯罪大国・サルサにコーヒーといったところが大方ではないだろうか?
 確かにコロンビアは大きな治安問題を抱えている。国内には南米最大の左翼ゲリラ組織FARC(コロンビア革命軍)をはじめとする非合法組織が存在する。 私が派遣されて半年の間に、首都ボゴターカリ間を利用した四人の日本人バックパッカーが夜間長距離バスで薬物を使った盗難にあっているし、私たちボランティアはJICAコロンビア事務所に毎日安全確認の電話をすることを義務づけられている。
 しかし、「ここ以外で暮らすなんて考えられないなぁ」と移住者に言わせてしまうほど、もろもろの黒い面を上回るすごい魅力を持った国、それがコロンビアなのだ。
 コロンビアへの日本人初期移住は、海外興業会社の斡旋により、一九二九年の五家族二十五人を嚆矢として、翌年五家族三十四人、三五年十家族百人の合計百五十九人が農業試験移民として入植している。
 戦後にも百五十人以上が移住し、現在コロンビア全土に暮らす日系人は約八百人。ブラジルや他国の移住の規模と比較するとかなり少ないが、大豆やコーリャンなど大規模畑作農業をこの国で初めて確立し、農業で成功している人の割合は非常に高い。その中で私が働くコロンビア日系人協会(町田栄会長)は国内唯一の日系人協会だ。
 移住者が多く住むここヴァジェ県はアンデス山系にはさまれた高原で、派遣されたばかりの頃「あっちが西山脈でこっちが中央山脈だよ」と教えられたときは、「私アンデス山脈の間に立ってる!」とひどく感動したことを覚えている。
 土地が肥沃、気候は常夏、太陽に恵まれた、農業にはもってこいの土地で、そのおかげでここは二毛作、熱帯フルーツも豊富で日系農家の方々のおかげで日本野菜も食べられる。
 私は日本食ももちろん好きだが、サンコチョ、エンパナーダ、モンドンゴ、モルシージャなど(大抵のものが相当脂っこい)、コロンビア料理も大好き。
 そのせいか、日本にいるときは痩せてこそいないがそこそこ普通体型だったのが、おかげですっかりカレーニャ(カリの女性というかカリのおばさん!?)体型と化している。
 日本から持ってきた服が全て入らなくなってかなり不経済なことをしているが、サルサなどをいくら踊っても、ここにいる間は大きくなり続けそうであるが、それも幸せなことだと自分を納得させている。
 人も気候も食べ物も音楽も、どれをとってもここは世界で最も住みやすい場所のひとつではないかと私は思っている。
   ◎   ◎
【職種】団体事務
【出身地】静岡県藤枝市
【年齢】35歳
 今回から「最前線から」拡大版として、南米諸国で活躍するJICA青年ボランティアのエッセイも掲載を開始します。

 ◇JICA青年ボランティア リレーエッセイ◇
連載(42)=加藤志保=ピエダーデ文化体育協会=「何とかなる」の精神
連載(41)=原規子=西部アマゾン日伯協会=浅黒い肌にしなる腰
連載(40)=東万梨花=トメアス総合農業協同組合=アマゾン加工食品の妙
連載(39)=加藤みえ=ボツカツ日本文化協会=ボツカツはははの一週間
連載(38)=中村茂生=バストス日系文化体育協会=「祖国」について思うこと
連載(37)=原田陽子=ピラール・ド・スール文化体育協会=「悔しい」気持ち
連載(36)=後田聡子=レシフェ日本文化協会 =いつかペルナンブカーナに
連載(35)=池田玲香=マリアルバ文化体育協会=子供と正直に向き合って
連載(34)=加藤志保=ピエダーデ文化体育協会=ブラジル―日本間で
連載(33)=今井さや香=コロニア・ピニヤール文化体育協会=村人の優しさに感動
連載(32)=中江由美=ポルトベーリョ日系クラブ=ブラジルのお盆
連載(31)=宇都宮祐子=Escola Professora Josephina de Mello(マナウス)=ひらがなや漢字を描く?
連載(30)=中村茂生=バストス日系文化体育協会=コロニアで聞く戦争体験
連載(29)=相澤紀子=ブラジル日本語センター=「サンタクルス病院にて」
連載(28)=辻 伸二=セルジッペ州日伯文化協会=歌と歩んだアラカジュの2年間
連載(27)=原規子=西部アマゾン日伯協会=「アマゾンに暮らす」
連載(26)=東万梨花=トメアス総合農業協同組合=パラエンセのスピリット
連載(25)=森川奈美=マリリア日系文化体育協会=書道に日本語は必要?
連載(24)=原田陽子=ピラール・ド・スール文化体育協会=日本の反対側の日本
連載(23)=今井さや香=コロニアピニャール文化体育協会=「ブラジルの空の下で」
連載(22)=池田玲香=マリアルバ文化体育協会=気づいた「日本人らしさ」
連載(21)=山崎由加里=特別養護老人施設あけぼのホーム=〃家族とのつながり〃
連載(20)=中村茂生=バストス日系文化体育協会=百周年に移民展を
JICA連載(19)=加藤みえ=ボツカツ日本文化協会=ボツカツから笑顔の風
JICA連載(18)=中江由美=ポルトベーリョ日系クラブ=「時の流れもお国柄」
JICA連載(17)=加藤紘子=クイアバ・バルゼアグランデ日伯文化協会=パンタナールに漂う空間に出会って
JICA連載(16)=宇都宮祐子=Escola Professora Josephina de Mello(マナウス)=料理アマゾナス風
JICA連載(15)=松岡美幸=パラナ州パルマス日伯文化体育協会=「人の温かみを感じる町」
JICA連載(14)=相澤紀子=ブラジル日本語センター=「何を残して何を持ち帰るのか」
JICA連載(13)=東 万梨花=トメアス総合農業協同組合=ブラジル人から学んだ逞しくなる秘訣
JICA連載(12)=森川奈美=マリリア日系文化体育協会=「笑顔の高校生達」
JICA連載(11)=原 規子=西部アマゾン日伯協会=元気な西部アマゾン日伯協会
JICA連載(10)=中江由美=ポルトヴェーリョ日系クラブ=「熱帯の中で暮らし始めて」
JICA連載(9)=中村茂生=バストス日系文化体育協会=「日本」が仲立ちの出会い
JICA連載(8)=加藤紘子=クイアバ・バルゼアグランデ日伯文化協会=日本が学ぶべきこと
JICA連載(7)=森川奈美=マリリア日系文化体育協会=「気づかなかった素晴らしさ」
JICA連載(6)=清水祐子=パラナ老人福祉和順会=私の家族―39人の宝もの
JICA連載(5)=東 万梨花=ブラジル=トメアス総合農業共同組合=アマゾンの田舎
JICA連載(4)=相澤紀子=ブラジル=日本語センター=語り継がれる移民史を
JICA連載(3)=中村茂生=バストス日系文化体育協=よさこい節の聞こえる町で
JICA連載(2)=原規子=西部アマゾン日伯協会=「きっかけに出会えた」
JICA連載(1)=関根 亮=リオ州日伯文化体育連盟=「日本が失ってしまった何か」
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