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バーチャル日本移民史料館を23日から開始=世界から展示観覧可能に=コロナ禍に対応、先進的試み

バーチャル史料館の画面

バーチャル史料館の画面

 ブラジル日本移民史料館(MHIJB、山下リジア運営委員長)はパンデミックに前向きに対応して、世界から見られるようにする新しい試み「バーチャル史料館」を23日から開始する。それに先立ち21日夜、オンラインでプレイベントが開催され、史料館関係者、来賓、スポンサー企業代表者ら約60人が出席し、概要の説明を聞き、新しい試みの開始を祝った。

 


 23日からは、世界のどこにいてもインターネットを通して、移民史料館の内部を無料でバーチャルに見学することが可能になる。バーチャル史料館の説明言語は当面ポルトガル語のみだが、将来的には英語と日本語にも対応する予定。
 サイトに現れる史料館内の映像の◎をクリックすることで好みの場所に移動し、拡大もできる。自動で巡回するプレイもあり、2分間で階を一巡する映像、使い方の説明動画なども用意されている。グールグビューとも連動しており、そのまま館内に移動できる。
 21日晩のプレイベントで山下運営委員長は、「これは文化政策の一環としてサンパウロ州政府が実施したアルジル・ブランク法令によって、州内の博物館、美術館23施設の活動内容や経歴が評価され、当館は4位に入選しました。そこでいただいた賞金で市民に提供する文化プログラムの一環としてこのバーチャルミュージアムを実施しました」と説明した。
 「これは史料館の経歴に対する賞でした。つまり日本企業のご支援があって実施できた近代化改修プロジェクトに対する評価だったと思います。お世話になっています企業への感謝の気持ちを込めて、このプレイベントを開催しました」とのこと。
 同館は移民110周年を記念してご来伯された眞子内親王お立ち会いのもと2018年7月に8階の再開館式を行った。
 翌19年には第2期工事として7階部分、20年には第3期工事で「移民・日本文化研究センター(梅棹忠夫先生記念室)」と「斉藤広志先生記念室」をオープンした。そして今回はコロナ禍を乗り越える試みとしてバーチャル史料館を始める。
 当日、同史料館の運営母体であるブラジル日本文化福祉協会の石川レナト会長は「スポンサー企業、聖州政府、市当局など皆に心から感謝したい」とのべ、山田彰日本国大使、桑名良輔在聖総領事、ブルーノ・コーバス聖市長代理でルイス・アルバロSPツール総裁、コーヒー資料館および聖州移民資料館のアレシャンドレ・アルメイダ理事長、JICAブラジル事務所の江口雅之所長、国際交流基金サンパウロ日本文化センターの洲崎勝所長ら来賓が賞賛のコメントを述べた。
 協賛企業を代表してトヨタ・ド・ブラジルの下村セルソ副社長は「自動車産業もパンデミックに対応する大きな移行期を迎えている。史料館も前向きにそれに対応し、世界に開かれた存在感を見せるべく工夫している。未来を見通すには歴史を理解しなければいけない。今後も史料館へ協力する準備がある」と熱く語った。
 さらにホンダ・ド・ブラジルのマルコス・ベント渉外担当役員も「移民の存在を通してブラジル多文化主義に貢献するすばらしい取り組み」と高く評価した。
 記念イベントとして23、24、25日に同サイトで国際交流基金提供のオムニバス映画『アジア三面鏡2016:リフレクションズ』を特別上映する。さらに26日19時からサンパウロ総合大学のモラレス松原礼子教授のウェビイナー講演「コロニア語」が行われる。また26~29日には書道と折り紙のワークショップがオンラインで開催される。全てポ語。同サイトで詳細確認を。

 

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