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文芸

連載小説=移り住みし者たち=麻野 涼=第80回

ニッケイ新聞 2013年5月23日 「日本に帰国する時に、黒人の嫁や混血児を連れて帰るなんてできるはずがない。それに子供がガイジンと結婚すれば、孫に流れる日本人の血は二分の一になる。孫がガイジンと結婚すれば三代目の血は四分の一になってしまう。血の純血が守れないということは民族的自殺に等しい。混血結婚を繰り返せば、大和民族の血がい ...

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刊行物=『忘れられない日本人移民』=映像作家 岡村淳さん初の著書

ニッケイ新聞 2013年5月23日  ブラジルに20年以上住む記録映像作家、岡村淳さん(54、東京)の初の著書『忘れられない日本人移民 ブラジルへ渡った記録映像作家の旅』(港の人、1800円、232頁)が先月刊行された。  約30年にわたる取材活動を通じ、「人間的に非常に面白い」と感じた6人の移民の人生を、彼らとの出会いから現在 ...

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連載小説=移り住みし者たち=麻野 涼=第79回

ニッケイ新聞 2013年5月22日 「二、三日姿が見えないと、他の移民が訪ねていくと、両親はすでに死んでいて、遺体に湧いたウジで子供が遊んでいた。遺体は腐乱が激しくどうすることもできず、子供を引きはなして、家ごと燃やしたケースもあったくらいだ」 「野村さんも日本人移住地に入られたのですか」 「わしらはコーヒー栽培にすぐに見切りを ...

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連載小説=移り住みし者たち=麻野 涼=第78回

ニッケイ新聞 2013年5月21日  サンパウロ近郊なら、その日の夕方までには着いたが、遠距離になると二、三日後に店頭に並ぶことになる。野村は農業を離れると、雑貨店を経営しその店で新聞を売っていた。  外は日が高くなるに連れて、気温は急激に上昇した。児玉はマリーナと一緒に野村の家で朝食を摂ることになった。近くのパダリア(パン屋) ...

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連載小説=移り住みし者たち=麻野 涼=第77回

ニッケイ新聞 2013年5月18日  三時間ほど走り、ドライブインに入り休憩した。昼間の熱気がまだ残り、車を降りた瞬間汗が噴き出してくる。次々に長距離バスも入ってくる。ドライブインは二十四時間営業で、ボリュームをいっぱいに上げたスピーカーからサンバが流れていた。 「もうすぐカーニバルよ」マリーナが言った。  毎年二月末にカーニバ ...

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連載小説=移り住みし者たち=麻野 涼=第76回

ニッケイ新聞 2013年5月17日  そのアミノ布団店の入口横にある螺旋階段を上がった二階に受付があった。学校の名前はエスコーラ(学校)・デ・ソロバンで、フロアをいくつかに区切り教室として使っているのか、講義する声が聞こえてきた。昼間は算盤を習いにくる二世、三世の子供たちで教室は埋まるが、夜間は日本語を学ぶ日系人や児玉のような新 ...

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連載小説=移り住みし者たち=麻野 涼=第75回

ニッケイ新聞 2013年5月16日  マリーナも現在の日本の様子を日本語で質問してきた。 「広島までバスで何時間くらいかかりますか」 「天草はきれいな島ですか」  マリーナの関心は東京よりも祖父の故郷広島、祖母の生まれた天草にあった。児玉は広島には二度ほど訪れたことはあったが、天草どころか九州にさえ行ったことはなかった。サンパウ ...

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『弓場勇』など2冊刊行=「毀誉褒貶あるロマンチスト」

ニッケイ新聞 2013年5月16日  弓場農場の創始の人生を描いた『弓場勇の生涯』(大浦玄編著、大浦文雄監修)と『子供移民・大浦文雄』ポ語版(同、非売品)の出版記念会が11日正午から、スザノ福博村の大浦農園で開催され、サンパウロ市からバス1台含め友人らが駆けつけ、約70人でにぎわった。  当日出席しなかった『弓場勇』の出資者・天 ...

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刊行物『蜂鳥』

ニッケイ新聞 2013年5月15日  句集『蜂鳥』第24巻312号が刊行された。  「蜂鳥集」より3句「夕日さす実石榴三つ笑み割れし」(名和喜美子)「枝豆や青さ残して茹で上る」(渋江安子)「村ありし頃の目印竹の春」(畠山てるえ)、「特別作品」(土田真智女)「富重写真館6」(五味国夫)ほか。

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連載小説=移り住みし者たち=麻野 涼=第74回

ニッケイ新聞 2013年5月15日 「ブラジルの小学校しか出ていない私が教えるなんて無理。それは学校の先生に相談してもらわないと……」 「いや、確かに先生が教えてくれるポルトガル語は文法に則っているけど、解説の日本語が下手で実は何を言っているのかわからない時があるんだ」 「私の日本語はもっと下手よ」 「いや、マリーナの日本語は方 ...

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