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=最前線から
■連載(57)=石塚弥依子=インダイアツーバ日伯文化体育協会=次の世代へ伝えていくもの

2006年8月31日(木)

 私の任地、ここインダイアツーバは、サンパウロからバスで一時間半ほどの、静かな街だ。先住民の言葉で、「たくさんのインダイア(椰子科の植物)」という意味だそうだ。名前のとおり街の入り口には、大きなインダイアの木が風に吹かれている。
 配属されてから一年半、この街で何不自由なく生活している。気候も暑すぎず寒すぎず、大都市に近いわりに安全で、暮らしやすさにおいてはブラジル屈指だと、街の人々は口をそろえて言う。
 学校まで自転車で十分、毎日通う道は整っていて、よく手入れされた街路樹の緑のトンネルをくぐり抜けるのはとても気持ちがいい。特にカルチャーショックもなく、すぐになじんだここでの生活は、居心地が良すぎて、たまに自分がどこにいるのか忘れてしまいそうになる。
 そして、マンゴーの木に実がついているのや、道端に咲くハッとするほど色鮮やかな花を見ると、「そうだ、ここはブラジルだった」と、急に思い出す。
 学校では授業やイベントの準備などに追われ、てんてこ舞いのことも多いけれど、生活全般を比べると、やっぱり日本よりも時間はゆっくりと流れているように感じる。これは、そこで暮らす人々の、心の余裕の差なのかとも思う。
 ゆったりとした時間の流れ以外にも、ここでの暮らしを好ましく思う理由はたくさんあるのだが、なかでもとりわけ印象的なのは、日本人会や日本語学校の子どもたちが、年齢にかかわらず、みんな仲が良いことだ。兄弟姉妹だけでなく、年上の子が年下の子の面倒を当たり前のようにみている。日本ではあまり見られなくなった光景だ。
 また日本人会のイベントでは、朝早くから夜遅くまで、ときには何日も前から準備に精を出す父親や母親を手伝う子どもたちの姿が多く見られる。小さい子から大きい子まで、それぞれが自分のできることを探し、一生懸命働いている。
 親たちががんばっていることを手伝うのは、子どもにとって自然なことなのだろう。そういう「当たり前」のことがちゃんと行われていることが、素晴らしいと思う。そうして、未来の日本人会を担う人材が育まれていく。
 一世の方たちがだんだんと少なくなり、日本人会の存続を危ぶむ声も聞こえてくる中、そんな子どもたちの姿は、明るい希望を投げかけている。
 日本語を教えながら、彼らに伝えることはけっして言葉だけではないのだと知った。
   ◎   ◎
【職種】日本語教師
【出身地】愛知県知多市
【年齢】30歳
 ◇JICA青年ボランティア リレーエッセイ◇
連載(57)=石塚弥依子=インダイアツーバ日伯文化体育協会=次の世代へ伝えていくもの
連載(56)=小笠原公衛=ブラジル日本移民史料館=変わったもの、変わらないもの
連載(55)=沢田直子=ドミニカ日系人協会(ドミニカ共和国)=移住50周年を迎えて

連載(54)=相澤紀子=ブラジル日本語センター=ブラジル再発見の旅
連載(53)=竹村雅義=南マットグロッソ州日伯文化連合会=オーパ!ブラジルの中のニッポン
連載(52)=中村茂生=バストス日系文化体育協会=積み重ねられる歴史
連載(51)=豊倉麗子=アマンバイ日本人会(パラグアイ)=移住の歴史を後世に
連載(50)=大畑りつ子=コロンビア日系人協会(カリ)=一世から学んだ元気の秘訣
連載(49)=平安寺映美=エンカルナシオン日本人会=二つの言葉の間で
連載(48)=宇野麻美=ヴィトリア日系協会=「当たり」だった出会い
連載(47)=沢田直子=ドミニカ日系人協会(ドミニカ共和国)=カリブ海の日本語学校
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連載(45)=名村優子=エステ日本人会(パラグアイ)=国境の町の学校
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連載(43)=大畑りつ子=コロンビア日系人協会=コロンビアからコモ・エスタ?
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連載(36)=後田聡子=レシフェ日本文化協会 =いつかペルナンブカーナに
連載(35)=池田玲香=マリアルバ文化体育協会=子供と正直に向き合って
連載(34)=加藤志保=ピエダーデ文化体育協会=ブラジル―日本間で
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Copyright 2005Nikkey Shimbun (Jornal do Nikkey)
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