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身近なアマゾン(24)――真の理解のために=乱開発された土地に大豆=栽培の競合もつづく

2007年1月18日付け

 □乱開発に終止符を打つ軍事行動(2)□
 ブラジル歴史にも登場する大農場(エスタンシア)というのは、ブラジルがまだポルトガルの植民地時代に、ポルトガルを中心としたヨーロッパ人が、インディオが暮らしていた土地に侵入してきて、広大な面積を私有化したそのまま、現在に至っている、という現実がある。アメリカの西部開拓史そのままなのである。
 広い農場になると、所有者がどこまでが自分の土地なのか分かっていない、という冗談のような話がある。週に一回か、月に一回、自家用飛行機で自分の土地の境界線を見て回る、なんていうのは、まだ可愛いほうだ、と言われているような状況で、そんな土地にこれらガリンペイロあがりの土地なし農民が侵入していくわけだ。
 第三の、ガリンペイロの行き先は、資本階級の考えた、未開地開発(焼き畑)だったのである。
 その結果、このアマゾン地方の焼き畑農業の規模が常軌を逸している、ということで、世界の自然保護機関の槍玉にあがってしまった。そこで、ブラジル政府も重い腰を上げねばならなくなり、イバマ(自然保護省)が規制に乗り出し、〔焼き畑〕に対して大きな罰金を課すようになった。必然的に取り締まり機関と伐採業者のイタチゴッゴが始まった。
 伐採業者もなかなか曲者揃いで、煙を出して見つかって、罰金をかけられるのであれば、煙を出さない方法を考え出す。大型トラクター二台による〔根こそぎ作戦〕もそれ。平行に並べた二台の大型トラクターに太い鎖をかけて、そのまま引っ張って森林を、根こそぎなぎ倒す方法なのだ。これだと、煙が出ないので、当局に発見されにくく、おまけに人件費も安く納まる、というダブルメリットがあった。
 森林開発には一定のルールがあって、伐採業者、イバマ(自然保護省)、インクラ(国有農地管理局)などの許可取得条件審査があるが、その審査には不正が存在していたかもしれないし、役所の経営資金不足による許可の乱発なども存在して、過剰開発になってしまったのだろう。
 ブラジルでは、こういう民間や政府で管理できなくなると、軍隊が乗り出してくる。そういう込み入った過程を経て、今回の冒頭に述べた、空挺部隊による爆撃に至ったのだろう。勿論、戦争ではないので、破壊行動に入る前に予め、人間の安全は確実に確保され、退避命令を確認してからの任務遂行だったようだ。現地住民には、ショックも大きかったようだが、混乱は起こらなかったそうだ。
 この国では、軍が出てくると、それに対して文句を言える機関はないようで、それだけに軍というのは統制されている。常に平衡間隔を持っている必要があると思うが、ブラジルの軍隊というのは、結構見事に任務を遂行しており、かなり高度で国民に納得のいく常識を持っているようだ。
 軍隊出動のことはここまでにしておくが、今年のアマゾン河支流タパジョス川上流のテーレスピーレス川でこのような出来事があった、ということを皆様に報告しておきたい、と考えた。
 最近の傾向としては、これらの乱開発された土地に大豆が植えられるようになり、大豆成金がでている。この地域を将来の世界の穀倉地域と予想し、最近中国資金が入り、日本商社などと競合しながら乱開発が現在も続いていることは、周知の事実だ。つづく           (松栄孝)

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