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文芸

連載小説=日本の水が飲みたい=広橋勝造=(9)

ニッケイ新聞 2013年9月24日 【社会部の古川です。どなたですか?】 「ジョージ」 【ジョージ?】 「ジョージ・ウエムラだ」 【おぃや〜、珍しー、刑事が俺に電話してくるとは、で、事件とは?】 「事件? そんな事じゃなく、ボーズの事で聞きたい事があるんだ」 【ボーズ?】 「だいぶ前、レストラン『ポルケ・シン』のジゾウの前で『ボ ...

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連載小説=日本の水が飲みたい=広橋勝造=(10)

ニッケイ新聞 2013年9月25日 「ふ〜ん、今時めずらしー。しかし、なんであんな所に飾ってあるんだ?」 【買ったはいいが、置き場所がなくてあそこに放置したんだ。ところが意外な事に、それ以来、店が面白いほど繁盛し、前からある七福神と競って店を盛り上げているそうだ。料理はともかく、神ダノミで繁盛する食堂は世界でもあそこしかないだろ ...

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連載小説=日本の水が飲みたい=広橋勝造=(11)

ニッケイ新聞 2013年9月26日 【なに野暮な事を・・・、俺達一世に悪者がいるはずないだろう! 詳しくは邦字新聞に載っているがね】 「カンジが読めるだけで優越感持ち、悪い事は全て二世だと人種差別しやがって・・・、一世のヤボ記者」 【なんだとー! 俺が野暮記者なら、お前はヘボ刑事だ! だからブラジルは検挙率十五パーセントの犯罪蔓 ...

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連載小説=移り住みし者たち=麻野 涼=第151回

ニッケイ新聞 2013年9月3日 「君がトレメ・トレメで遊んでいるのも、ボアッチ通いしているのも聞いていた。そんなことについて注意するつもりはない。ブラジルの土を踏んだ独身の男は皆そうやって遊んできた。しかし、結婚となると話は別だ。君はいずれ日本に帰ることがはっきりしているんだ」 「日本に戻ることくらい相手に説明して付き合ってい ...

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連載小説=日本の水が飲みたい=広橋勝造=(12)

ニッケイ新聞 2013年9月27日 【会長さんは、東洋街の桜並木が日本帝国時代の象徴だと拗ねる中国人を説得しに行っておられますので・・・・・・、どなた様でしょうか?】 「ジョージとイイます。実は、ミヤギケンジンの方を探しているんですが、その件で調べていただこうと・・・」 【ちょっとお待ち下さい】二十秒ほど待たされた。 【代わりま ...

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連載小説=移り住みし者たち=麻野 涼=第152回

ニッケイ新聞 2013年9月4日 「名前はなんていうの」マリーナは子供の顔を見ながら聞いた。 「望マリオっていうの」叫子が答えた。  児玉も改めてマリオの顔を見つめた。浅黒い肌の色をしている。 「日本でマリオが生まれたのなら、大変な人生が待っていると思うけど、ブラジルならこの子の思うように自由に生きられると思う。ホントにブラジル ...

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連載小説=日本の水が飲みたい=広橋勝造=(13)

ニッケイ新聞 2013年9月28日 「で、そのボーズさんは、今、そのお寺に?」 「この手紙の差出人住所がローランジアの石塚さん宅ですから、そこに間借りしておられるみたいですね。ローランジアの宮城県人会に問合せてみましょう」 「それで、分かりますか?」 「サンパウロやパラナ州では、十万人規模の町にはたいてい県人会の支部が設けられて ...

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刊行物『朝陰』

ニッケイ新聞 2013年9月6日  句集『朝蔭』8月号が刊行された。  「雑詠 寿和選」から3句「共に老ゆ愛馬はげまし秋耕す」(中川千江子)「パンやれば我が家に住みつく寒雀」(星川としい)「昆布かと聞いて木耳箸のばす」(松下さつ子)、「あの恩人は今如何に」(秋村蒼一郎)ほか。

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刊行物『蜂鳥』

ニッケイ新聞 2013年9月6日  句集『蜂鳥』314号が刊行された。  「蜂鳥集」から3句「束の間の空のパレット冬茜」(田中美智子)「着ぶくれて蒲団の中が吾が浄土」(佐藤けい子)「ピポッカの鍋いっぱいに子等笑顔」(鈴木文子)、「実万両」(高橋節子)「花の道」(馬場園かね)ほか。

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連載小説=日本の水が飲みたい=広橋勝造=第一章 旅僧  

  ニッケイ新聞 2013年9月12日    二〇〇七年五月十日、成田発サンパウロ直行JAN045便は、東の空に朝の気配が迫るサンパウロ国際空港に、時間通り到着した。  大きなジャンボ機は所定の第一ターミナルに機体を寄せると、朝の静けさを破ってかん高く唸る四機のエンジンを次々と切って、二十六時間に及ぶ長旅で疲れた乗客に、あたかも ...

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