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身近なアマゾン(31)――真の理解のために=漁師に捕獲されれば=食べられてしまう=ペイシェ・ボイ「雄牛魚」

2007年3月7日付け

 アマゾンのカワウソは「ウッソ!」と鳴いた(1)
 アマゾン河には人魚がいる、と言われている。その人魚の正体とはいったい何か、というと、ブラジルではペイシェ・ボイと呼ばれているマナティのことなのだ。ブラジル語でペイシェは魚のこと、ボイは雄牛を意味している。日本語に直訳すると〔雄牛魚〕という表現になり、英語名がマナティで、こちらの名前の方が日本には一般的かもしれない。
 彼らは、南米から北米の熱帯圏の川や海に生息していて、オットセイのような姿をしている。文献によると、彼らは〔海牛目〕という名称で分類されていて、れっきとした哺乳類で、厳密に言うと、アフリカ、北米、南米に生息しており、それぞれ〔アフリカマナティ、北米マナティ、南米マナティ〕と生息地域によって名称が違うのだそうだ。
 おそらく、形態もある程度は変化があるのではないか、と考えられる。それにしても〔海牛目〕という日本語表現は良い。この生き物の特徴にピッタリ。
 一方、もう一種〔ジュゴン〕と呼ばれる、マナティのそっくりさん人魚がいる。彼らは、アフリカ沿岸から東南アジアを経て、沖縄に至る範囲で生息している、と言われており、マナティと同様に〔海牛目〕の動物なのだが、南北アメリカには生息していない。マナティもジュゴンも昔から〔人魚〕と呼ばれていた動物だが、それではこの二種はどのように違うのだろうか。
 その最も大きな特徴は、尻尾の形態が違うのだそうだ。なるほど言われてみたらマナティの方は尻尾が団扇状の円形をしているのが特徴で、アマゾンマナティも尻尾は丸い形をしている。
 一方のジュゴンはと言うと、その尻尾が半月状か三日月状という形態で、知っている人であれば、一見しただけでこの二種は判別できる。
 さて、このペイシェ・ボイこと、英名マナティであるが、アマゾン河流域にも生息している。と書いたが、筆者はまだ自然状態のマナティにはお目にかかっていない。時折、魚とりに同行してくれる漁師に話を聞くことはある。そして個人的に飼っている人も知っているし、各地にある自然保護施設でも飼われているところが多い。
 勿論、自然保護の観点から、飼育は禁止されているのだそうだ。現地では、この動物を入手することは不可能ではないが、こんな動物を飼ってみても仕方がない。
 しかし反面、この動物は食べて美味しいのだそうだ。だから現地では見つかったら即食用として捕獲されるため、その滅亡が心配されている。筆者は食べたことはないが、現地での漁師の話では、脂がのっていて、とても美味しいそうだ。
 実際生きた個体に触ってみると、筆者が昔日本で食べたクジラとか水族館で触ったイルカに似ている。
マナティを触った感触というのは、特に脂ののった尾の身と呼ばれたクジラの皮膚の部分の皮下脂肪のついたカタマリ、その皮の感触と同じような感触がした。
 筆者は、このクジラの最も美味しいとされている尾の身のような味だろうか、と想像している。そんな具合なので、捕獲はかたく禁止されているのだが、このマナティが現地で漁師に見つかれば、黙って食用として、即殺されてしまう運命にあるようだ。
 マナティは大きな個体になると、五百キロを超えるようで、大抵は子供連れの家族単位で行動しているのだそうだ。つづく (松栄孝)

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